内容
遺産を独り占めしようとする相続人がいる場合の遺産分割
自分が遺産のほとんどを取得し、他の相続人にはわずかな金銭の支払で終わらせようとするなど、遺産を独り占めしようとする相続人がいるケースがあります。今回のニュースレターでは、このようなケースでの対処法について、ご説明させていただきます。
1 法定相続人と法定相続分
配偶者は必ず相続人となり、子(亡くなっていれば孫)が第1順位の相続人となります。子がいなければ直系尊属(父母。亡くなっていれば祖父母)が第2順位の相続人となります。直系尊属もいなければ兄弟姉妹(亡くなっていれば甥姪)が第3順位の相続人となります。そして、例えば、相続人が配偶者と子3人である場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子が6分の1ずつとなります。法定相続人は複数いることが多く、特定の相続人に全財産を相続させる旨の遺言書がある場合などを除いては、相続人の誰かが一方的に遺産を独り占めすることは認められないのが原則です。
2 特別受益と寄与分
遺産を独り占めしようとする相続人は、他の相続人が生前贈与などの特別受益を受けていること、または自身に家業従事・介護などの寄与分が認められることを主張してくるかもしれません。しかし、ご自身だけでなく相手方も特別受益を受けているかもしれませんし、被相続人の財産の形成・維持に寄与したこと、家業従事・介護がほとんど無報酬であり相当の負担を伴うものであったことなど、寄与分の要件についても慎重な検討が必要です。特別受益・寄与分により取り分がほとんどなくなることはあまりなく、相手方の主張を争えばご自身の取り分を守れるケースが多いです。
3 遺留分侵害額請求
特定の相続人に全財産を取得させる旨の遺言書がある場合でも、兄弟姉妹・甥姪を除く法的相続人には、最低限の取り分である遺留分が保障されています。遺留分侵害額請求により、全財産を取得する相続人に対して一定割合の金銭請求が可能です。
4 預金の使い込み
遺産を独り占めしようとする相続人が被相続人の生前に預金を使い込んでいたという事例も少なくありません。相続人の誰かが被相続人の預金を不当に使い込んでいたのであれば、他の相続人は法定相続分に応じて返還・賠償を請求することができます。
5 遺産を独り占めしようとする相続人がいる場合の対処法
遺産の独り占めを許す内容の遺産分割協議書にサインしたり、言われるままに相続放棄したりしてしまうと、後々ご自身の取り分を請求することができなくなります。ご自身の取り分を主張することが大切ですし、もし相手方が聞く耳を持たない場合には、専門家である弁護士に遺産分割手続の対応をご依頼いただくのがよいでしょう。
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