内容
自己破産における同時廃止事件と管財事件
新型コロナウイルス感染症の影響などにより、自己破産を余儀なくされることもあります。自己破産には、同時廃止事件と管財事件の2種類があり、どちらに振り分けられるかは、破産者にとって重大な関心事です。今回のニュースレターでは、自己破産における同時廃止事件と管財事件について、ご説明させていただきます。
1 同時廃止事件と管財事件とは
同時廃止事件とは、裁判所の破産手続開始決定と同時に破産手続が廃止(終了)となるものです。管財事件とは、裁判所が破産手続開始決定の際に破産管財人を選任し、破産管財人が様々な調査、財産の処分、債権者への配当などの手続を行うものです。管財事件は、高価な財産を保有している場合、会社・法人・個人事業主である場合、免責不許可事由(ギャンブル・浪費など借金の免除が認められなくなる可能性のある一定の事情)がある場合などに選択されます。管財事件とならなかった事案は、同時廃止事件となります。管財事件は、一般的に手続が複雑であり、手続の終了までに時間がかかり、破産管財人の報酬にあてるための予納金を納める必要があります。
2 同時廃止事件の手続
同時廃止事件では、裁判所に自己破産の申立てをし、破産審尋、破産手続開始決定、免責審尋、免責許可決定の流れで手続が進行していきます。破産審尋は、裁判官との面接手続であり、自己破産に至る経緯・理由などを質問されます。破産審尋のあと、裁判所が破産手続開始決定を出し、およそ3か月後に免責審尋の期日が指定されます。免責審尋とは、裁判官との面接手続であり、免責不許可事由の有無などを質問されます。免責審尋が終わると、免責許可決定(借金の免除を許可する決定)が出され、手続が終了となります。なお、破産審尋は、過去に自己破産歴がなく、免責不許可事由も見当たらないという場合には、省略されることが多いです。また、破産審尋は、裁判所の会議室などに複数の破産者が出席し、裁判官の話(今後の生活に関する注意点など)を聞く集団面接の形で行われることが多かったのですが、近時はコロナ禍のために省略されることが多くなっています。
3 管財事件の手続
管財事件では、裁判所が破産手続開始決定の際に、破産管財人を選任します。そして、自己破産に至る経緯の調査、免責不許可事由の調査、財産の調査と処分、債権者への配当などの手続を行います。そのうえで、免責審尋、免責許可決定という流れで手続が進行していきます。管財事件では、免責審尋は省略されません。当事務所では、自己破産に関するご相談・ご依頼を多数お受けしております。もし皆様の周りに借金問題でお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひ当事務所をご紹介ください。
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