内容
遺産相続において必要となる調査について
遺産相続を行うに当たっては、まずは相続人と相続財産(遺産)を確定しなければなりません。また、被相続人(故人)の負債(借金)の有無・金額を調べたうえで、負債の額が大きい場合には相続放棄を検討することとなります。今月号のニュースレターでは、このような遺産相続において必要となる調査について、解説させていただきます。
1 相続人調査
相続人が誰であるかを確定するためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本類を取得する必要があります。通常は被相続人の死亡時の戸籍謄本(除籍謄本)を取得するだけでは足りず、改製原戸籍謄本や婚姻・転籍前の戸籍謄本類までさかのぼって取得する必要があることがほとんどです。また、代襲相続(本来相続人となる被相続人の子または兄弟姉妹がすでに死亡している場合に、その者の子が代わって相続すること)が発生している場合や、被相続人に子がおらず被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合には、亡くなった相続人や被相続人の親の出生から死亡までの戸籍謄本類、兄弟姉妹の戸籍謄本類の収集が必要となり、調査を要する範囲が広がります。
2 相続財産調査
相続財産としては、現金、預貯金、不動産(土地・建物)、動産(自動車、貴金属、家具など)、有価証券(株式、投資信託など)などが考えられます。これらの相続財産は、被相続人の遺品整理の際に発見されることもあれば、被相続人宛ての郵便物を見て判明することもあります。さらに、例えば、預貯金については、生活圏内にある主要な金融機関に名寄せ(残高証明書の交付)を申請すれば、その金融機関の全支店を対象として、預貯金の有無・残高を調査することが可能です。不動産については、被相続人が保有する不動産があると考えられる市区町村(被相続人の住所地やその近郊など)の役場に名寄帳の交付を申請すれば、その市区町村に存在する所有不動産全てを確認することができます。有価証券については、被相続人が取引をしていた証券会社に照会すれば、取引情報の開示を受けることができます。
3 負債の調査
負債については、被相続人名義の通帳を見れば、口座引き落としの履歴があるかもしれません。また、金融機関・貸金業者からの郵便物によって負債の存在が判明することもあります。より確実な調査としては、信用情報機関(JICC・CIC・全国銀行個人信用情報センター)に信用情報の開示を請求すれば、金融機関・貸金業者からの負債状況について網羅的に把握することが可能です。このような相続関係の調査については、ご自身で対応することも可能ですが、非常に手間がかかります。当事務所では、これらの相続調査の代行業務も承っておりますので、ぜひご相談ください。
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