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ニュースレター48-1

内容

うつ病の社員の自然退職と退職勧奨の注意点

当事務所では、近年、うつ病の社員への対応にお悩みの企業・法人の経営者様や人事・法務担当者様からのご相談をいただくことが増えております。今月号のニュースレターでは、こうしたうつ病の社員への対応の一場面として、自然退職と退職勧奨に関する注意点について解説させていただきます。

1 うつ病の社員を自然退職とする際の注意点
うつ病の社員が休職した際に、「休職期間が満了して復職できない状態が続く場合には退職とする」旨の就業規則の定めがあれば、その定めを適用して自然退職とすることが一応可能です。しかし、うつ病が業務を原因とする疾病であると判断される場合には、その療養中は自然退職が無効とされてしまいます(労働基準法19条1項)。

そこで、うつ病が明確な私傷病でない限りは、むやみに自然退職とするのではなく、業務を原因とする疾病であることを前提とする取扱いとし、リスクを回避することが望ましいと言えます。具体的には、療養関係費用を全額負担し、休職期間については賃金の6割に相当する休業補償を行ったうえで、療養開始後3年を経た後に打切補償として平均賃金1200日分を支払って、解雇手続を行うというものです(労働基準法75条1項、76条1項、81条1項)。

2 うつ病の社員に退職勧奨を行う際の注意点
うつ病にかかって頻繁に欠勤している社員や、復職できそうにない社員に対しては、退職勧奨(退職してくれるように説得・交渉すること)を行うといった対応もあり得るところです。しかし、何度も執拗に退職を迫るなど、社員の自由意思を制約する形での退職勧奨は、退職の強要として違法と評価されてしまいます。退職の強要が原因でうつ病が増悪したなどとして、損害賠償を請求されるリスクもあります。

また、うつ病の社員に退職勧奨を行う際には、通常の退職勧奨とは異なる特別な配慮が必要です。後で「退職するように強迫された」、「正常な判断ができない状態で退職させられた」などと言われて、退職の意思表示が無効であるなどと主張されないように、慎重を期す必要があるのです。例えば、交渉の経過を逐一録音や書面で残すことや、退職についての検討期間を与えて、家族立会いのもとで「退職の合意が成立しました」という形を取るなどの対応が考えられます。

うつ病の社員への対応にお悩みの企業・法人の方がいらっしゃいましたら、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。

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