内容
「無期転換ルールへの対応」(その2)
今回のニュースレターは、前回に引き続いて、「無期転換ルール」への対応をテーマとさせていただきます。前回予告させていただいたとおり、労働契約法の改正で「無期転換ルール」とともに加わった新ルールである「雇止め法理」の法定化と、不合理な労働条件の禁止について、ご説明いたします。
1 「雇止め法理」の法定化
有期労働契約は、企業が更新拒否したときは、契約期間の満了により雇用が終了します。これを「雇止め」といいます。過去の最高裁判所の判決により、一定の場合には雇止めを無効とするルール(雇止め法理)が確立していましたが、これがそのままの内容で労働契約法に定められました。
このルールのもとでは、更新手続がずさんで更新時の合意があいまいであった場合や、上司や人事担当者等から契約更新に期待を抱かせる発言があった場合において、従業員が契約更新を希望すると、雇止めは認められないこととなります。
2 不合理な労働条件の禁止
有期労働契約の従業員と無期労働契約の従業員との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の違いを設けることを禁止するルールです。ここでいう労働条件の中には、賃金や労働時間だけではなく、災害補償、服務規律、教育訓練、福利厚生など、一切の待遇が含まれます。
差があること自体が禁止されるのではなく、合理的な理由なく差を設けることが禁止されるものです。具体的には、正社員には通勤手当を支給するが、契約社員には支給しないとか、正社員には安全管理上の備品を無償で支給するが、臨時社員からは実費を徴収するといったことが、不合理な労働条件に該当する可能性があります。
3 無期転換ルールへの対応と雇止め規制、人事管理の変更
従来から希望者のほぼ全員の契約を自動更新していたようなケースでは、無期転換を避けて5年を前に雇止めを行うことは認められないでしょう。そのため、「雇止め法理」のもとで、有期労働契約が更新を含めて通算5年を超えないように運用していく場合には、契約更新のたびに書面を交わし、従業員側に自動更新を期待させるような言動(例えば「契約期間は形式的なものだ」といった発言)をしないことが条件になります。
また、無期転換を推進する運用をしていく場合、無期転換した従業員の労働条件については、有期のときと同じでも構いませんし、別の内容に変更することもできますが、有期のときに比べて不利益にならないように配慮しなければなりません。
パート、アルバイト、契約社員などの無期転換ルールや雇止めについて、お悩みのこと、ご不明のことなどがありましたら、まずは当事務所にお気軽にご相談ください。
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