内容
企業のマタハラ問題にご用心
マタハラ(マタニティー・ハラスメント)問題をご存知でしょうか?マタハラとは、妊娠・出産を理由とする女性従業員への不当な対応や言動のことを言います。2014年10月23日の最高裁判決で、妊娠・出産を契機とする降格は原則として違法との判断が示されたことで、大きな話題となりました。今回のニュースレターでは、妊産婦の雇用・労働に関する法律上の決まりについて、ご説明いたします。
1 不利益取扱いの禁止
女性従業員が妊娠・出産したことや、産前産後の休業(後述)・妊娠中の軽易業務転換(後述)などを理由として、解雇その他の不利益な取扱いをすることはできません(男女雇用機会均等法9条3項)。
2 解雇の制限
妊娠中の女性従業員および出産後1年を経過しない女性従業員(妊産婦)に対してなされた解雇は、企業が妊娠・出産とは無関係の解雇であることを証明しない限り、無効となります(男女雇用機会均等法9条4項)。
3 産前産後の休業
女性従業員が請求した場合、産前6週間(多胎妊娠=双子や三つ子などの場合は、14週間)は休業を認めなければなりません(労働基準法65条1項)。また、産後8週間は原則として休業させなければならず、女性従業員から請求があり、かつ医師が支障のない業務と認めたものに限り、産後6週間経過後ならば就業させてもよいという扱いになります(労働基準法65条2項)。
4 妊娠中の軽易業務転換・妊産婦の残業の制限
妊娠中の女性従業員から請求があった場合、軽易な業務に転換させなければなりません(労働基準法65条3項)。また、妊産婦の女性従業員から請求があった場合、時間外労働、休日労働、深夜業をさせることはできません(労働基準法66条1項~3項)。
5 保健指導または保健診査を受けるための時間の確保
女性従業員が妊産婦のための保健指導や保健診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければなりません(男女雇用機会均等法12条)。
妊産婦の雇用・労働に関する法律上の決まりのうち、代表的なものを挙げさせていただきました。企業がこうした法律上の決まりに違反した場合、罰則の対象となることや、損害賠償請求を受けるなどのリスクがありますので、注意が必要です。雇用・労働の問題でお悩みの方がいらっしゃいましたら、お気軽に当事務所にご相談ください。
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