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ニュースレター28-1

内容

従業員による営業秘密の持ち出しへの対応

近年、企業の顧客名簿や技術、ノウハウといった営業秘密が、従業員によって外部に流出するという事件が増加しています。特に、元従業員が、退職時に持ち出した顧客名簿を使って、転職先で顧客を勧誘しているという事例はよく目にします。そこで、今回は、従業員による営業秘密の持ち出しへの対応についてご説明いたします。

1 事前の営業秘密保持・漏えい対策が重要
情報は一度広まってしまうと元の状態に戻すことが難しいですし、営業秘密が同業他社で使用されてしまった場合には、企業経営に重大な影響が生じてしまいます。

ですから、何よりも事前に対策を講じておくことが大切です。保管場所の施錠、情報にアクセスできる人を限定する、部外秘・禁帯出等と書いておく、社内で情報管理に関する定期的な研修を実施する、営業秘密の持ち出しを就業規則で規制する、持ち出し禁止の誓約書を書かせるといった対策が考えらえます。

2 不正競争防止法による差止め、廃棄の請求
仮に営業秘密が持ち出されてしまった場合、不正競争防止法による対応が考えられます。この法律では、例えば、同業他社に転職した元従業員が、無断でコピーして持ち出した顧客名簿を使って顧客を勧誘している場合には、顧客名簿の使用行為の差止め、名簿のコピーの廃棄といった請求ができます。

もっとも、この法律で保護されるには、保管場所の施錠、部外秘・禁帯出等の表示、従業員の指導といった管理態勢が十分取られている(秘密管理性)などの要件を満たしている必要があります。そのため、これらの対策が講じられていないと、不正競争防止法で問題とする入口にすら立てないということになってしまうので、注意が必要です。

3 損害賠償請求
従業員が営業秘密の持ち出しを行い、これにより会社が損害を受けた場合には、損害賠償を請求することが考えられます。この請求が認められるためには、従業員が秘密保持義務を負っている必要があります。会社と従業員との間で秘密保持契約を結んでおくことで、この義務を明確化できます。また、就業規則で持ち出しを規制しておくことも有効ですし、営業秘密の持ち出し禁止の誓約書は、入社時や昇進時のみならず、退社時にも提出させれば、より義務が明確となります。

従業員による営業秘密の持ち出しへの対応についてお困りの方がいらっしゃいましたら、是非、当事務所にご相談ください。

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