代表弁護士で温泉ソムリエの木村哲也です。
最近の休日は、青森県内各地の温泉によく足を運んでいます。
今回の日常コラムでは、温泉に関する様々な話題と、最近訪れた青森県内の温泉のご紹介を中心にお話させていただきます。
【目次】
1 温泉入浴と運動・食事・飲酒
(1)温泉入浴と運動
(2)温泉入浴と食事
(3)温泉入浴と飲酒
2 大鰐温泉(その2)
3 温泉と文化財
4 酸ヶ湯温泉(その2)
5 蒸し湯
6 梅沢温泉
7 泉質別の特徴と効能
(1)単純温泉
(2)塩化物泉
(3)炭酸水素塩泉
(4)硫酸塩泉
(5)二酸化炭素泉
(6)含鉄泉
(7)硫黄泉
(8)酸性泉
(9)放射能泉
(10)含よう素泉
8 おわりに
1 温泉入浴と運動・食事・飲酒
(1)温泉入浴と運動
健康のためには「運動」「栄養」「休息」のバランスが大切です。
温泉入浴は睡眠とともに「休息」のカテゴリーに属するものですが、ここでは入浴と「運動」についてお話しいたします。
まず、運動前の入浴については、体を温めることが準備体操の補助に繋がります。
肩まで浸かる全身浴による入浴疲労の不安がある場合には、半身浴や足浴も有効です。
特に足浴はアキレス腱をほぐす効果があるため、怪我や筋肉痛の防止に繋がります。
全身浴の場合、入浴疲労にならないようにするためには、汗を多くかくような入浴は避け、額が軽く汗ばむ程度、あるいは汗ばむ前に風呂上りにしましょう。
次に、運動後の入浴については、疲労回復効果が期待できますが、注意点もあります。
その注意点とは、運動後すぐに入浴するのではなく、30分以上休憩してから入浴するのがよいという点です。
運動後は筋肉の疲労箇所に血液が集まり、疲労物質の排出が促進されるのですが、このタイミングで入浴すると血液が体中に分散し、筋肉の代謝が不十分となってしまうのです。
筋肉の疲労回復には温冷交互浴が効果的であり、入浴前後には十分な水分補給を行うことも大切です。
そして、入浴もまた運動に匹敵するほどのカロリーを消費するため、入浴後は30分~1時間程度休息をとることをお勧めいたします。
(2)温泉入浴と食事
食事の直後に温泉入浴をすることはお勧めできません。
その理由として、入浴して体が温まると全身の血管が拡張し、体中に血液が多く供給されるようになります。
そして、食後には消化のために胃腸に血液が集まるのですが、入浴により血液が体中に分散されると、消化機能の低下を引き起こすこととなるのです。
食後の入浴は、食事が終わってから1時間は間隔を空けるようにしましょう。
そして、入浴直後も全身の血行が良くなり、胃腸に血液が集まりにくくなっていますので、30分程度休憩してから食事をとるのがよいでしょう。
また、温泉入浴には血管を拡張し、血行を良くする効果がある一方で、血圧を上げるなどのリスクもあり、心筋梗塞や脳梗塞のような症状には注意が必要です。
そこで、ドロドロ血を解消しサラサラ血を作ることにより、温泉入浴の効果に相乗効果をもたらすことが期待できます。
サラサラ血を作るために、以下のような食材を意識してとるとよいでしょう。
【魚介類】
マグロ、カジキ、カツオ、サワラ、ブリ、ハマチ、サンマ、アジ、サバ、いわし、青魚類、ツナ、サケ、真鯛、金目鯛、キンキ、イサキ、スズキ、タチウオ、にしん、ヒラメ、ホッケ、メバル、うなぎ、あなご、ししゃも、鮎、たらこ、イカ、カニ、カキ、ウニ、海藻
【野菜類】
ほうれん草、春菊、青菜類、にんじん、トマト、ピーマン、緑黄色野菜、ねぎ、ニラ、玉ねぎ、にんにく、にんにくの芽、グリーンピース、さやえんどう、インゲン、ししとう、キャベツ、白菜、サラダ菜、ミツバ、セロリ、パセリ、クレソン、グリーンアスパラ、ブロッコリー、大根の葉、かいわれ大根、ラディッシュ、カブ、レンコン、じゃがいも、さつまいも、青じそ、バジル、しいたけ、レモン、グレープフルーツ、柑橘類、りんご、いちご、柿、あんず、バナナ、キウイ、アボカド
【その他】
胚芽米、そば、納豆、ヨーグルト、大豆、ナッツ類、ごま、オリーブオイル、酢、牛乳、緑茶、日本酒、赤ワイン
(3)温泉入浴と飲酒
温泉入浴の後に飲酒を楽しむという方も多いと存じます。
入浴後の飲酒自体は悪いことではありません。
ただし、入浴すると血行が良くなり、アルコールも回りやすくなることから、入浴直後の飲酒は体に負担がかかります。
そのため、入浴後は30分~60分程度休憩してから飲酒するようにしましょう。
温泉入浴の後に飲酒を楽しむという方も多いと存じます。
入浴後の飲酒自体は悪いことではありません。
ただし、入浴すると血行が良くなり、アルコールも回りやすくなることから、入浴直後の飲酒は体に負担がかかります。
そのため、入浴後は30分~60分程度休憩してから飲酒するようにしましょう。
ところで、温泉地に出掛ける際には、入浴後に食事時間のスケジュールとなることが多いでしょう。
しかし、入浴すると体の表面に多くの血液が巡り、胃腸の血流量が減るために消化機能が低下してしまいます。
これに対し、アルコールには、消化酵素の分泌を促し、胃の血流を良くすることにより、消化機能を高め食欲を増進する効果があります。
特にビールは、アルコール・炭酸ガス・苦味成分が相乗効果により胃の動きを活発にし、体が食事をするための準備を整えてくれます。
なお、飲酒後は脱水状態になりやすく、脱水状態はアルコール分解が阻害される要因となりますので、入浴の前後や飲酒の合間に水分補給を心掛けることが大切です。
また、飲酒直後に入浴したり、飲酒しながら入浴したりすることは、血圧の急上昇による脳卒中や心臓発作を引き起こすおそれがあります。
風呂場での転倒リスクもありますので、特に泥酔状態での入浴は控えるようにしましょう。
そして、二日酔いの時の入浴法として、体に負担を掛けずに尿でアルコールを排泄するために、入浴前後に水を飲んだうえで、40度以下のぬるい湯にじっくり浸かる(温泉地などで熱い湯しかない場合には、半身浴や分割浴をする)という入浴法が推奨されます。
入浴するとナトリウム利尿ホルモンが刺激され、利尿作用が高まります。
ただし、ひどい二日酔いの場合には、血行が良くなることによりさらに体調が悪化するおそれがありますので、入浴するよりも横になって休むのがよいでしょう。
2 大鰐温泉(その2)
大鰐温泉は、「弁護士の日常コラム」では2回目のご紹介となります。
2024年9月某日、大鰐温泉を訪れ、「ヤマニ仙遊館」様に宿泊しました。
「ヤマニ仙遊館」様に宿泊するのは、今回が初めてでした。
「ヤマニ仙遊館」様は大鰐温泉で最も古い旅館であり、登録有形文化財にも登録されています。
創業は明治5年、現在の建物は明治30年に建てられたものであり、太宰治も訪れたそうです。
【宿の館内】
「ヤマニ仙遊館」様の館内では、歴史ある建物の風情を楽しむことができます。
浴室もまた、情緒あるレトロな空間となっています。
【温泉】
※温泉の写真はスタッフの方の許可を得て撮影しました。
温泉の泉質は「カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(低張性中性高温泉)」であり、浴用の泉質別適応症・泉質別禁忌症は以下のとおりです。
「ヤマニ仙遊館」様は大鰐温泉で最も古い旅館であり、登録有形文化財にも登録されています。
創業は明治5年、現在の建物は明治30年に建てられたものであり、太宰治も訪れたそうです。
【宿の館内】
「ヤマニ仙遊館」様の館内では、歴史ある建物の風情を楽しむことができます。
浴室もまた、情緒あるレトロな空間となっています。
【温泉】
※温泉の写真はスタッフの方の許可を得て撮影しました。
温泉の泉質は「カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(低張性中性高温泉)」であり、浴用の泉質別適応症・泉質別禁忌症は以下のとおりです。
泉質別適応症 | 【塩化物泉】 きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症 【硫酸塩泉】 塩化物泉と同じ |
泉質別禁忌症 | 【塩化物泉】 なし 【硫酸塩泉】 なし |
その他、以下のような効能があるとされています。
①「塩化物泉」「硫酸塩泉」は、温泉の成分が肌に吸着しやすく保温・保湿効果が高いため、湯冷めしにくく湯上り後の肌の乾燥が抑制されるという特徴があるとされています。
②「硫酸塩泉」は肌を蘇生する美肌効果があるとされ、「美人の湯」の一つであると言われています。
刺激が少なくマイルドな浴感であり、よく温まる名湯です。
温泉入浴を楽しんだあとは、夕食です。
夕食は、「ヤマニ仙遊館」様の文化財の土蔵を改装した「文化財土蔵カフェ~」でいただきました。
山の幸をふんだんに使った大鰐温泉もやし入りの「山のめぐみ鍋」、「地場野菜の炭火焼」、「青森帆立のバター醤油焼き」などのコース料理を楽しみました。
【夕食】
翌朝の朝食は、大広間でゆったりと園を眺めながらいただきました。
夕食・朝食とも、趣のある空間でのお食事が、お料理の味わいを一層引き立ててくれます。
【朝食会場】
大鰐温泉もやし入りの味噌汁、焼き鮭、野菜たっぷりの小鉢6種の朝食膳を楽しみました。
【朝食】
山の幸をふんだんに使った大鰐温泉もやし入りの「山のめぐみ鍋」、「地場野菜の炭火焼」、「青森帆立のバター醤油焼き」などのコース料理を楽しみました。
【夕食】
翌朝の朝食は、大広間でゆったりと園を眺めながらいただきました。
夕食・朝食とも、趣のある空間でのお食事が、お料理の味わいを一層引き立ててくれます。
【朝食会場】
大鰐温泉もやし入りの味噌汁、焼き鮭、野菜たっぷりの小鉢6種の朝食膳を楽しみました。
【朝食】
3 温泉と文化財
文化財とは、「我が国の長い歴史の中で生まれ、育まれ、今日まで守り伝えられてきた貴重な国民的財産」のことです。
文化財の保護等を目的とする文化財保護法という法律があり、国は重要な文化財を国宝、重要文化財、史跡、名勝、天然記念物等として指定、選定、登録し、文化財の保存・活用を図っています。
文化財の保存・活用のための措置としては、現状変更や輸出などの制限、保存修理や防災施設の設置、史跡等の公有化等に対する補助、文化財の公開施設の整備に対する補助、展覧会等による文化財の鑑賞機会の拡大などがあります。
また、顕著な普遍的価値を有する文化遺産をユネスコに推薦し、世界文化遺産への登録を推進することも行われています。
温泉関連の文化財には様々なものがあり、東北地方の温泉宿では今回の日常コラムでご紹介した大鰐温泉(大鰐町)の「ヤマニ仙遊館」(本館)のほかに、乳頭温泉(秋田県仙北市)の「鶴の湯温泉」(本陣)、銀山温泉(山形県尾花沢市)の「能登屋旅館」(本館)、鳴子温泉(宮城県大崎市)の「ゆさや旅館」(本館)などが登録されています。
※銀山温泉「能登屋旅館」(本館)の写真は「やまがたへの旅」(山形県公式観光サイト)の無料写真ダウンロードにより入手したイメージ画像です。
また、玉川温泉(秋田県仙北市)の北投石、夏油温泉(岩手県北上市)の石灰華、鬼首の雌釜および雄釜間歇温泉(宮城県大崎市)が特別天然記念物に指定され、鮞状珪石および噴泉塔(秋田県湯沢市)が天然記念物に指定されています。
【夏油温泉の石灰華】
※夏油温泉の石灰華の写真は「PIXTA」様で購入し、ライセンスを得たイメージ画像です。
温泉関連の文化財に触れることもまた、温泉旅の楽しみのひとつです。
※銀山温泉「能登屋旅館」(本館)の写真は「やまがたへの旅」(山形県公式観光サイト)の無料写真ダウンロードにより入手したイメージ画像です。
また、玉川温泉(秋田県仙北市)の北投石、夏油温泉(岩手県北上市)の石灰華、鬼首の雌釜および雄釜間歇温泉(宮城県大崎市)が特別天然記念物に指定され、鮞状珪石および噴泉塔(秋田県湯沢市)が天然記念物に指定されています。
【夏油温泉の石灰華】
※夏油温泉の石灰華の写真は「PIXTA」様で購入し、ライセンスを得たイメージ画像です。
温泉関連の文化財に触れることもまた、温泉旅の楽しみのひとつです。
4 酸ヶ湯温泉(その2)
酸ヶ湯温泉は、「弁護士の日常コラム」では2回目のご紹介となります。
2024年10月某日、酸ヶ湯温泉を訪れ、一軒宿の「酸ヶ湯温泉旅館」様に宿泊しました。
「酸ヶ湯温泉旅館」様の館内では、小型のねぶたや棟方志功の版画作品が展示されており、訪れる人の目を楽しませてくれます。
【棟方志功の版画作品】
酸ヶ湯温泉は名立たる酸性・含硫黄泉の名湯であり、混浴の「ヒバ千人風呂」では160畳もの浴室に源泉の異なる「熱の湯」「冷の湯」「四分六分の湯」「湯滝」の4つの湯を楽しむことができます。
また、男女別の小浴場「玉の湯」もあります。
【ヒバ千人風呂】
※温泉の写真は「Amazing AOMORI」(青森県観光情報サイト)の無料写真ダウンロードにより入手したイメージ画像です。
「熱の湯」の泉質は「酸性・含硫黄・鉄(Ⅱ・Ⅲ)-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉[硫化水素型](低張性酸性高温泉)」であり、浴用の泉質別適応症・泉質別禁忌症は以下のとおりです。
【棟方志功の版画作品】
酸ヶ湯温泉は名立たる酸性・含硫黄泉の名湯であり、混浴の「ヒバ千人風呂」では160畳もの浴室に源泉の異なる「熱の湯」「冷の湯」「四分六分の湯」「湯滝」の4つの湯を楽しむことができます。
また、男女別の小浴場「玉の湯」もあります。
【ヒバ千人風呂】
※温泉の写真は「Amazing AOMORI」(青森県観光情報サイト)の無料写真ダウンロードにより入手したイメージ画像です。
「熱の湯」の泉質は「酸性・含硫黄・鉄(Ⅱ・Ⅲ)-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉[硫化水素型](低張性酸性高温泉)」であり、浴用の泉質別適応症・泉質別禁忌症は以下のとおりです。
泉質別適応症 | 【酸性泉】 アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症 【硫黄泉】 アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、末梢循環障害を加える) 【含鉄泉】 なし 【硫酸塩泉】 きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症 【塩化物泉】 硫酸塩泉と同じ |
泉質別禁忌症 | 【酸性泉】 皮膚または粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症 【硫黄泉】 酸性泉と同じ 【含鉄泉】 なし 【硫酸塩泉】 なし 【塩化物泉】 なし |
その他、以下のような効能があるとされています。
①「硫黄泉」はメラニン色素の分解を促すシミ予防効果があるとされ、「美人の湯」の一つであると言われています。
②「硫酸塩泉」は肌を蘇生する美肌効果があるとされ、「美人の湯」の一つであると言われています。
③「硫酸塩泉」「塩化物泉」は、温泉の成分が肌に吸着しやすく保温・保湿効果が高いため、湯冷めしにくく湯上り後の肌の乾燥が抑制されるという特徴があるとされています。
この日は脚を追い込む筋力トレーニングをしたあとに「酸ヶ湯温泉旅館」様を訪れており、効能豊かな酸ヶ湯の名湯に身をゆだねながら、ゆっくりと筋肉疲労を癒しました。
最近パーソナルトレーニングに通い始めたのですが、その件は別の機会にお話ししたいと存じます。
宿泊プランは湯治体験プランを選択し、湯治棟の六畳一間の客室での滞在となりました。
質素な客室であり、じっくりと温泉と向き合いながら、静かに過ごすことができます。
夕食は、長芋いくら、鯛の刺身、きのこ鍋、カレイの生姜煮などが付いた健康的な定食(湯治食)をいただきました。
【夕食】
朝食は、バイキングです。
パーソナルトレーニングでは食事指導も受けており、食べるものはタンパク質を意識して選択しました。
【朝食】
夕食は、長芋いくら、鯛の刺身、きのこ鍋、カレイの生姜煮などが付いた健康的な定食(湯治食)をいただきました。
【夕食】
朝食は、バイキングです。
パーソナルトレーニングでは食事指導も受けており、食べるものはタンパク質を意識して選択しました。
【朝食】
5 蒸し湯
温泉の伝統的な入浴法のひとつに蒸し湯があります。
蒸し湯とは、温泉の蒸気を浴室に引き込んで行う蒸気浴のことです。
蒸し湯は、奈良時代に瀬戸内地方の岩窟で誕生したと言われています。
最近では若い世代を中心にサウナがブームになっていますが、蒸し湯はいわば天然のスチームサウナです。
一般的な湯に浸かる入浴法と比べて、蒸し湯は体への負担が少ないため、長時間利用することもできます。
体が温まることにより血管が拡張し、血行が促進されます。
また、新陳代謝が高まり、体内の老廃物の排泄が促されるなどの効果が期待できます。
青森県では、猿倉温泉(十和田市)で蒸し湯(蒸し風呂)を楽しむことができます。
※蒸し風呂の写真はスタッフの方の許可を得て撮影しました。
また、酸ヶ湯温泉(青森市)には「まんじゅうふかし」というふかし湯があります。
高温の温泉水が樋で流され、その上にかけた木の蓋に腰掛けたり、横たわったりすれば、じんわりと身体の芯まで温まります。
ふかし湯もまた蒸し湯の一種であり、子宝の湯、若返りの湯と言われ、胃腸、婦人病、痔にも効果があるとされています。
【酸ヶ湯温泉のまんじゅうふかし】
その他の東北地方にある蒸し湯としては、玉川温泉(秋田県仙北市)の天然岩盤浴、後生掛温泉(秋田県鹿角市)の箱蒸し風呂・オンドル浴、須川高原温泉(岩手県一関市)の蒸し風呂(おいらん風呂)、瀬見温泉(山形県最上郡最上町)の瀬見温泉共同浴場「せみの湯」にあるふかし湯などが知られています。
※蒸し風呂の写真はスタッフの方の許可を得て撮影しました。
また、酸ヶ湯温泉(青森市)には「まんじゅうふかし」というふかし湯があります。
高温の温泉水が樋で流され、その上にかけた木の蓋に腰掛けたり、横たわったりすれば、じんわりと身体の芯まで温まります。
ふかし湯もまた蒸し湯の一種であり、子宝の湯、若返りの湯と言われ、胃腸、婦人病、痔にも効果があるとされています。
【酸ヶ湯温泉のまんじゅうふかし】
その他の東北地方にある蒸し湯としては、玉川温泉(秋田県仙北市)の天然岩盤浴、後生掛温泉(秋田県鹿角市)の箱蒸し風呂・オンドル浴、須川高原温泉(岩手県一関市)の蒸し風呂(おいらん風呂)、瀬見温泉(山形県最上郡最上町)の瀬見温泉共同浴場「せみの湯」にあるふかし湯などが知られています。
6 梅沢温泉
梅沢温泉は、鶴田町にある温泉です。
昭和48年(1973年)から営業しています。
当時、女将が「ここは温泉が出る」という直感から温泉を掘り、500メートルほど掘ったところで温泉が噴き出しました。
※民宿であり、宿泊も可能です。
2024年10月某日、梅沢温泉を訪れました。
梅沢温泉に来るのは今回が初めてであり、日帰り入浴を楽しみました。
【温泉】
※受付はなく、料金200円(2024年10月現在)を脱衣所の所定箇所に置いて入浴します。
泉質は「ナトリウム-塩化物泉(低張性弱アルカリ性高温泉)」であり、浴用の泉質別適応症・泉質別禁忌症は以下のとおりです。
※民宿であり、宿泊も可能です。
2024年10月某日、梅沢温泉を訪れました。
梅沢温泉に来るのは今回が初めてであり、日帰り入浴を楽しみました。
【温泉】
※受付はなく、料金200円(2024年10月現在)を脱衣所の所定箇所に置いて入浴します。
泉質は「ナトリウム-塩化物泉(低張性弱アルカリ性高温泉)」であり、浴用の泉質別適応症・泉質別禁忌症は以下のとおりです。
泉質別適応症 | きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症 |
泉質別禁忌症 | なし |
その他、以下のような効能があるとされています。
①「塩化物泉」は、温泉の成分が肌に吸着しやすく保温・保湿効果が高いため、湯冷めしにくく湯上り後の肌の乾燥が抑制されるという特徴があるとされています。
②アルカリ性・弱アルカリ性の温泉は、古い角質を除去する美肌効果があるとされています。
梅沢温泉の湯は、黒い湯の花が舞う薄茶色の湯であり、ヌルヌルとした湯ざわりで肌がツルツルする浴感です。
全国から温泉愛好家が噂を聞きつけて訪れる名湯であり、湯治に来たという宿泊客の方と温泉談義に花を咲かせました。
この日は10月下旬で肌寒く、梅沢温泉の熱い湯がしっかりと体を温めてくれました。
7 泉質別の特徴と効能
温泉の泉質は、「単純温泉」「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「二酸化炭素泉」「含鉄泉」「硫黄泉」「酸性泉」「放射能泉」「含よう素泉」の10種類に大別されます。
以下では、泉質別の特徴と効能について、整理いたします。
なお、「効能」は本来ならば医薬品等の効果を示す用語であり、温泉の場合は「適応症」と表記しなければなりませんが、一般的に使用されていることから理解しやすいように、「効能」と記載する箇所が私の記事中には多くあることをご了承ください。
温泉の泉質は、「単純温泉」「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「二酸化炭素泉」「含鉄泉」「硫黄泉」「酸性泉」「放射能泉」「含よう素泉」の10種類に大別されます。
以下では、泉質別の特徴と効能について、整理いたします。
なお、「効能」は本来ならば医薬品等の効果を示す用語であり、温泉の場合は「適応症」と表記しなければなりませんが、一般的に使用されていることから理解しやすいように、「効能」と記載する箇所が私の記事中には多くあることをご了承ください。
(1)単純温泉
【浴用の泉質別適応症】
自律神経不安定症、不眠症、うつ状態
【飲用の泉質別適応症】
なし
【泉質の別名】
家族の湯
【泉質の特徴】
子ども・高齢者にも優しい
(2)塩化物泉
【浴用の泉質別適応症】
きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
【飲用の泉質別適応症】
萎縮性胃炎、便秘
【泉質の別名】
温まりの湯、傷の湯
【泉質の特徴】
湯冷めしにくい、塩による殺菌力が強い
(3)炭酸水素塩泉
【浴用の泉質別適応症】
きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症
【飲用の泉質別適応症】
胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、耐糖能異常(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)
【泉質の別名】
美肌の湯、清涼の湯
【泉質の特徴】
美肌を作る
(4)硫酸塩泉
【浴用の泉質別適応症】
きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
【飲用の泉質別適応症】
胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘
【泉質の別名】
傷の湯、脳卒中の湯
【泉質の特徴】
傷・火傷の治療効果が高い
(5)二酸化炭素泉
【浴用の泉質別適応症】
きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症
【飲用の泉質別適応症】
胃腸機能低下
【泉質の別名】
心臓の湯
【泉質の特徴】
心臓に負担をかけず血行促進
(6)含鉄泉
【浴用の泉質別適応症】
なし
【飲用の泉質別適応症】
鉄欠乏性貧血
【泉質の別名】
婦人の湯
【泉質の特徴】
女性に見られやすい症状に効く
(7)硫黄泉
【浴用の泉質別適応症】
アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、末梢循環障害を加える)
【飲用の泉質別適応症】
耐糖能異常(糖尿病)、高コレステロール血症
【泉質の別名】
生活習慣病の湯、痰の湯
【泉質の特徴】
高血糖、高血圧、動脈硬化など生活習慣病に対応
※泉質別禁忌症として、皮膚または粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症。
(8)酸性泉
【浴用の泉質別適応症】
アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症
【飲用の泉質別適応症】
なし
【泉質の別名】
皮膚病の湯
【泉質の特徴】
殺菌効果が高い
※泉質別禁忌症として、皮膚または粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症。
(9)放射能泉
【浴用の泉質別適応症】
高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など
【飲用の泉質別適応症】
なし
【泉質の別名】
万病の湯、痛風の湯
【泉質の特徴】
数が少なく貴重、効果が高い
(10)含よう素泉
【浴用の泉質別適応症】
なし
【飲用の泉質別適応症】
高コレステロール血症
【泉質の別名】
体質改善の湯
【泉質の特徴】
高コレステロール血症が飲用の泉質別適応症にある
8 おわりに
今回は、青森県の3つの温泉のご紹介と、温泉に関する様々な話題についてお話しさせていただきました。
温泉に関する日常コラムは、2024年中にあと1件の記事を執筆し、一段落とする予定です。
記事作成弁護士:木村哲也
記事更新日:2024年10月23日
※本コラムの記事内容は、記事更新日時点の法令・指針および温泉分析書の掲示等に基づくものです。記事更新日以降に法令・指針の改正・改訂および温泉成分の再分析等、その他事情の変更があった場合でも、記事内容の加筆・修正等を行うことは予定しておりません。あらかじめ、ご了承ください。
温泉記事の一覧
【執筆者:代表弁護士・木村哲也】
番号 | 年月日 | タイトル | 内容 |
---|---|---|---|
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12 | 2024.9.27 | 代表弁護士の温泉紀行⑫ | 青森県の温泉その12 【温泉紹介】 ①板留温泉、②落合温泉、③下風呂温泉(その2)、④新大秋温泉 【温泉解説】 ①温泉番付、②美人の湯、③子宝の湯、④湯めぐり、⑤温泉ソムリエマスター(その2) |
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10 | 2024.7.19 | 代表弁護士の温泉紀行⑩ | 青森県の温泉その10 【温泉紹介】 ①稲垣温泉、②五戸まきば温泉、③南田温泉 【温泉解説】 ①温泉権、②温泉地役権、③温泉環境権、④宇奈月温泉事件 |
9 | 2024.7.2 | 代表弁護士の温泉紀行⑨ | 青森県の温泉その9 【温泉紹介】 ①古遠部温泉、②相乗温泉、③寒水沢温泉 【温泉解説】 ①温泉偽装問題とは、②温泉偽装問題の影響、③近時の不祥事事例①温泉表示問題、④近時の不祥事事例②温泉の衛生問題 |
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5 | 2024.5.9 | 代表弁護士の温泉紀行⑤ | 青森県の温泉その5 【温泉紹介】 ①大鰐温泉、②薬研温泉、③奥薬研温泉、④恐山温泉 【温泉解説】 ①温泉法が定めるルール、②公衆浴場法・旅館業法が定めるルール、③温泉の表示に関するルール、④温泉の衛生管理に関するルール、⑤温泉経営における法務リスク |
4 | 2024.4.17 | 代表弁護士の温泉紀行④ | 青森県の温泉その4 【温泉紹介】 ①嶽温泉、②湯段温泉、③城ヶ倉温泉 【温泉解説】 ①環境省「令和4年度温泉利用状況」、②嶽温泉の源泉問題、③基本的な入浴法(全身浴・半身浴・足浴など)、④入浴事故を防止するための入浴法 |
3 | 2024.4.3 | 代表弁護士の温泉紀行③ | 青森県の温泉その3 【温泉紹介】 ①黄金崎不老ふ死温泉、②鯵ヶ沢温泉、③上北さくら温泉、④東北温泉 【温泉解説】 ①温泉の色、②湯の花、③温泉のにおい、④温泉の湯ざわり、⑤温泉の温度 |
2 | 2024.3.26 | 代表弁護士の温泉紀行② | 青森県の温泉その2 【温泉紹介】 ①下風呂温泉、②酸ヶ湯温泉、③奥入瀬渓流温泉 【温泉解説】 ①天然温泉と人工温泉、②温泉はどうやってできるか?、③源泉・元湯・引湯・かけ流し・循環について、④温泉ソムリエ検定 |
1 | 2024.2.6 | 代表弁護士の温泉紀行① | 青森県の温泉その1 【温泉紹介】 ①浅虫温泉、②谷地温泉 【温泉解説】 ①温泉とは、②温泉むすめ、③温泉ソムリエ |
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