1 事案

性的姿態等撮影罪で逮捕・勾留された被疑者より、ご依頼を受けました。

2 背景

被疑者は、被害者の下着姿をスマートフォンのカメラを使って無断で撮影し、さらに撮影した画像をSNS上に投稿して第三者に提供したとして、逮捕・勾留されました。
本件は、このような事案の性質や、後述する被害者の非常に重い処罰感情から、公判請求(正式な刑事裁判を起こされること)により、懲役刑が科せられるおそれが強い事案と考えられました。

被疑者は、これまで前科や前歴がなく比較的若年であり、できるだけ有利な刑事処分とするため、当事務所の弁護士にご依頼いただくことになりました。
当事務所の弁護士は、被疑者と打ち合わせのうえ、公判請求ではなく、略式請求による罰金(正式な刑事裁判ではなく、本人の同意を得て簡易な手続きで罰金刑とする手続きのこと)、可能であれば不起訴処分の獲得を目指して活動していく方針を決めました。

3 当事務所の活動と結果

(1)被害者との示談交渉

当事務所の弁護士は、ご依頼後速やかに担当の警察官と連絡を取り、被害者の連絡先を入手し、被害者と接触を図りました。

初回の連絡において、被害者は、被害の内容を何度も強調し、慰謝料として500万円という相場からかけ離れた金額を要求するなど、被害感情が非常に強い様子が感じられました。
当事務所の弁護士は、あくまで被疑者の代理人であるものの、被害者の話に真摯に耳を傾け、被疑者が深く反省している旨を重ねて伝えました。
そうしたところ、被害者からは100万円以上であれば示談に応じると話があったため、被疑者と面会して金額について再度打ち合わせを行うことにしました。

当事務所の弁護士は、当初は被疑者の経済的負担をできるだけ少なくするため、可能であれば100万円未満で示談をすることを考えていました。
しかし、被害者との初回の接触を受けて、被害者が拡散された画像等の明確な証拠を握っていると思われました。
そして、仮に民事訴訟となった場合には100万円以上の損害賠償債務を負う可能性があることや、示談成立が刑事処分に対し有利に影響することを十分に加味したうえで、100万円であれば示談に応じる方針としました。

その後、被害者と1週間ほど連絡が取れない時期がありましたが、勾留満期の直前に再び連絡が取れました。
そして、当事務所の弁護士が100万円での示談を提案したところ、被害者は、100万円とする根拠を尋ねてきました。
当事務所の弁護士は、これに対して、示談をすることにより早期かつ確実に100万円を支払えること、これ以上の金額を希望するのであれば別途民事訴訟を提起してもらうことになるが、それには費用と時間がかかり、こちらも訴訟になった場合には反論の材料があるため必ずしも希望する金額とはならないこと等を伝え、丁寧に説明と説得を重ねていきました。

その結果、被害者から100万円での示談に応じると回答を得たため、勾留満期の前日に示談契約を成立させ、示談契約書の取り交わし後、速やかに担当の検察官にその写しを提出しました。

(2)公判請求の回避

示談契約書の写しを提出する前、当事務所の弁護士が担当の検察官に対し、示談の成立見込みと処分の見通しについて話をしたところ、検察官としては公判請求もありうる事案と考えていたが、100万円の示談が成立するのであれば略式請求による罰金も考えられるとのことでした。

被疑者は、勾留満期日に略式請求による罰金となり、勾留満期直前となったものの示談契約を成立させることにより、公判請求を回避することに成功しました。

4 解決のポイント

以上のように、本件のような事案はその性質からして被害者の処罰感情が強いのはもっともなことであり、慰謝料として300万~500万といった金額を提示されることがあります。
そのような場合であっても、真摯に謝罪の意思を伝え、示談契約の成立により早期かつ確実に慰謝料を手に入れられるメリットを丁寧に説明することで、被害者を説得することができます。

また、本件の被疑者は、仮に公判請求をされた場合、身柄拘束期間が1か月以上延長されることが予想され、最終的には執行猶予の可能性はありますが懲役刑も予想されました。
示談契約の成立により、被疑者は勾留期間満期の日に早期に釈放され、公判請求による懲役刑も回避できました。

このように被害者がいる刑事事件において示談契約の成立は非常に大きな意味を持ちます。
弁護士であれば交渉に慣れており、どのような内容での示談契約であれば依頼者にとって最善か判断し、被害者と交渉することが出来ます。

ご家族が逮捕・勾留されてお困りの方や、逮捕・勾留されていなくとも捜査機関から捜査を受けていてお困りの方は、刑事事件を得意とする当事務所の弁護士にご相談ください。

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