1 量刑とは

量刑とは、法律に定められた刑の範囲内において、刑の種類や程度を決めることをいいます。

例えば、窃盗(他人のものを盗む犯罪)について、刑法235条は、「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定めています。
窃盗を犯した被告人(起訴された人)に対して有罪判決をくだすとき、懲役にするか罰金にするか、懲役ならば懲役何年にするか、実刑 (すぐに刑務所に行くこと)にするか執行猶予(一定期間再犯に問われなければ、刑務所に行くのを免れること)にするか、執行猶予ならば執行猶予何年にするか、罰金ならば罰金何万円にするか、それを決めるのが量刑です。

量刑は、犯行の動機、被害の程度、自白・反省の有無など、あらゆる要素を考慮して行われます。

2 量刑にあたって考慮される要素

前述のとおり、量刑は、あらゆる要素を考慮して行われます。
こうした要素のことを量刑事情と言います。
量刑事情には様々なものがありますが、典型的なものを以下で紹介いたします。

(1)犯行の動機

・犯行の動機が反社会的であること、私利私欲を満たすための犯行であることなどは、量刑が重くなる要素となります。
・生活苦からの犯行であること、被害者の挑発に対してなされた犯行であることなどは、量刑が軽くなる要素となります。

(2)犯行の態様

・犯行の態様(ありさま)が悪質であること、計画的であることなどは、量刑が重くなる要素となります。
・犯行の態様が稚拙であること、計画的でないことなどは、量刑が軽くなる要素となります。

(3)被害の程度

・被害が大きいことは、量刑が重くなる要素となります。
・被害が小さいことは、量刑が軽くなる要素となります。

(4)自白・反省

・被告人が罪を認めず、反省していないことは、量刑が重くなる要素となります。
・被告人が罪を認め、反省の態度を示していることは、量刑が軽くなる要素となります。

(5)被害弁償・被害感情

・被害者の被害感情が大きいことは、量刑が重くなる要素となります。
・被害者との示談が成立し、被害者に対する被害弁償がなされたこと、被害者が被告人を宥恕した(許した)ことは、量刑が軽くなる要素となります。被害者が示談交渉、被害弁償に応じてくれない場合、薬物犯罪など被害者がいない犯罪である場合などは、贖罪寄付(つぐないのために寄付をすること)をすることにより、 量刑が軽くなる要素となります。

(6)更生可能性

・被告人の粗暴な性格、犯罪の常習性などのため、再犯の可能性が否定できないことは、量刑が重くなる要素となります。
・被告人が更生の意欲を示していること、親族などが被告人を監督していくことを証言していることなどは、量刑が軽くなる要素となります。被告人が定職に就いており、経済的に安定していること、年齢が若いことなども、更生の可能性が高いものとして、量刑が軽くなる要素となります。

(7)前科・前歴

・被告人に前科(過去に犯罪のため有罪判決を受けた経歴)
・前歴(過去に犯罪のため逮捕、取調べなどを受けた経歴)があることは、量刑が重くなる要素となります。特に、同種の前科・前歴(例えば、薬物犯罪を犯した被告人に薬物犯罪の前科・前歴がある場合)は、重く見られてしまいます。もっとも、10年以上前の古い前科・前歴は、あまり重く見られないことが多いです。
・被告人に前科・前歴がないことは、量刑が軽くなる要素となります。

(8)社会的影響

・社会的影響の大きい事件であることは、量刑が重くなる要素となります。

(9)社会的制裁

被告人が逮捕・勾留されたことによって、勤務していた会社から解雇されたことなどは、刑罰のほかに社会的制裁を受けたものとして、量刑が軽くなる要素となります。

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