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ニュースレター26-1

内容

従業員解雇の高いハードル

近年では、労使間の法的トラブルが増加しており、不当解雇をめぐる訴訟等も少なくありません。今回は、「従業員解雇の高いハードル」と題しまして、解雇が適法と認められるための条件などについて、解説させていただきます。

1 普通解雇の場合
解雇には、普通解雇、懲戒解雇、整理解雇の3類型があります。解雇は、その従業員の生活基盤を破壊することになるため、法律や裁判例により、高いハードルが設定されています。労働契約法16条によると、普通解雇に当たっては、合理的な理由と、社会通念上の相当性が必要とされます。

例えば、能力不足の従業員を解雇する場合は、教育訓練や配置転換等の手段で解雇を回避するための努力を重ねたうえでなければ、解雇を無効とする裁判例が多いです。

2 懲戒解雇の場合
懲戒解雇は、就業規則の懲戒規定に基づき、解雇を行うことです。就業規則に懲戒解雇に関する明文の規定があること、適正な手続に基づいて処分が行われていること、処分内容が非違行為に比べて過度に重いといった不均衡がないことなどが要件となります。

横領など業務上の犯罪行為を理由とする場合が典型的ですが、始末書等の証拠を残しておくことや、弁明の機会を与えるなどの就業規則等に規定する適正な手続を遵守することが必要となります。

3 整理解雇の場合
整理解雇とは、余剰人員を削減することにより、事業の再建・維持を図ることを言います。整理解雇に当たっては、①人員整理の必要性があること、②解雇を回避するための経営努力を尽くしたこと、③人選の合理性・公平性、④説明・協議といった手続を踏んでいることが要件となります(整理解雇の4要件)。

4 まずは退職届を提出してもらう努力を
以上が適法に解雇を行うための要件ですが、裁判所では企業に対してかなり厳しい判断をしますので、安易な解雇には注意していただきたいと思います。従業員に退職届を提出してもらうことで、解雇トラブルをほぼ防ぐことができますので、まずは従業員に自主退職してもらうように説得することがベストです。

従業員の解雇など労務問題でお困りのことがありましたら、当事務所にご相談ください。

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