労働災害(労災)が発生し、会社(事業主)に安全配慮義務違反が認められる場合、労働者側は会社(事業主)に対して損害賠償を請求することができます。
労働災害の損害賠償額は、金額が高額になるケースが多いため、ひとつひとつの損害の項目について慎重に判断しなければ、適正な賠償額での解決を図ることができない可能性もあります。

●労働災害について
●安全配慮義務について(労働災害)

主な損害の項目としては、治療費、休業損害、逸失利益、慰謝料、葬儀費などがありますが、これらの各項目において、適切な賠償額を計算しなければなりません。

また、労働災害の損害賠償額の計算において、特に注意しなければならないのは、「過失相殺」という考え方です。
労働災害は、労働者本人にも過失(落ち度)があるために発生していることが少なくないため、労働者の過失の割合分を損害賠償額から控除しなければなりません。
このように、労働者の過失割合分を控除することを、過失相殺といいます。

しかし、問題となるのは、過失相殺の割合が事故や傷害・疾病などの具体的状況によって異なることです。
交通事故でも過失相殺の割合が問題となることはありますが、労働災害は交通事故と比べて裁判例の数が十分とはいえない状況にあるため、交通事故ほど明確な基準があるものではなく、裁判官によっても認定にばらつきがあるのが現状です。

つまり、労働災害の損害賠償請求にあたっては、労働災害の専門家である弁護士でなければ、適切な損害賠償額の計算を行い、解決の見通しを立てることは難しいといえます。

労働災害の損害賠償額、過失相殺について、電通事件という注目すべき裁判例があります。

電通事件とは、大卒の新入社員が2年目の夏に過労自殺したケースにつき、遺族が会社に対して損害賠償請求をした訴訟(裁判)です。
この裁判で、最高裁判所は、労働者側に3割の過失相殺を認めた高等裁判所の判断を覆しました(最高裁判所平成12年3月24日判決)。

高等裁判所では、労働者のうつ病に親和的な性格面、病院に行くなどの合理的行動を取らなかったこと、親の監督上の落ち度などを考慮して、請求額の3割を過失相殺により減額したのですが、最高裁判所では過失相殺を過労自殺に適用する場合に相殺を限定する注目すべき考え方を示し、親の監督責任を含めて、労働者側の過失責任を一切認めませんでした。

結局、この裁判は、高等裁判所に差し戻されたあと、会社が遺族に対して1億6800万円を支払うことで和解し、決着しました。

適切な損害賠償額での解決を図るためにも、労働災害が発生した場合には、まずは弁護士にご相談されることをお勧めします。

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